メンバー便り

カマキン閉館

鎌倉近代美術館(正式には神奈川県立近代美術館・鎌倉)が去る1月31日で65年の歴史に幕を閉じた。昨年12月のNHK日曜美術館で特集が組まれ閉館を知った。行こうと決めて結局、最終日となった。

占領下の昭和26(1951)年に、川端康成など地元ゆかりの文化人が呼び掛けてできた日本で最初の公立美術館である。「カマキン」の愛称で呼ばれ地元の人々から愛された。入場券を買うのにも長い行列ができた。

鎌倉近代美術館最後の展覧会

鎌倉近代美術館最後の展覧会

看板の上にリスがいた

看板の上にリスがいた

2階ピロティ 建築展ポスターより

2階ピロティ 建築展ポスターより

正面風景

正面風景

この美術館は、坂倉準三が設計した戦後日本を代表するモダニズム建築の傑作らしい。当時としては珍しい鉄骨材を使った瀟洒な建物で、周りの自然にも溶け合った設計と言われている。

確かに、鶴岡八幡宮の境内の林に埋まるように佇み、2階部分が平家池にせり出したピロティ形式で列状の鉄骨柱は池の中に立ち、その天井に水面が映る。新館も池と面した部分の壁はガラス張りで周りの風景が映り込む。自然との同化が計算されているらしい。1階部分の壁には大谷石のブロックが積み上げられているが、中庭を取り巻くその壁には規則正しく窓(空洞)が開けられ、一部にガラスを埋め込み採光と同時に閉塞感が緩和されている。

また、中庭のイサムノグチの彫刻(こけし)のほか随所におかれた彫刻も建物の一部となっているかのようだ。絵画ですら建物との一体感を感じてしまう錯覚に襲われる。私の好きな佐伯祐三の油絵(パリの下町風景)も、錯覚のせいか?この場にふさわしい。後日、彼の作品の評価確立にこの美術館が大きな力を果たしたことを知った。

中庭のイサムノグチ作こけし

中庭のイサムノグチ作こけし

ピロティから平家池を望む

ピロティから平家池を望む

素通りもできず八幡様に参拝した。平成22(2010)年3月に倒れた大イチョウ「隠れ銀杏」の古木が据えられていた。切り株や根元から新芽が育ち、ひ孫に見立て「蘖」(ひこばえ)と呼ばれているようだ。また千年はかかるが蘇るだろう。耐震性で取り壊す運命だったカマキンも日本建築学会などの強い要望で本館は補強して残るらしい。壊したら千年たってももどらない。

それにしても小町通りは若い女性たちで溢れかえっている。その喧騒に美術館で受けた充足感がかき消されそうで、帰りは表参道にした。

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隠れ銀杏の古木

隠れ銀杏の古木

鶴岡八幡宮

鶴岡八幡宮

◎神奈川県立近代美術館 http://www.moma.pref.kanagawa.jp/index.html

(一般社団法人地球温暖化防止全国ネット 岩田治郎)