メンバー便り

喜界島と地図① ―二つの最高地点―

前回まで奄美大島の近代の地形図に関する謎解きを書いてきた。この辺りで謎解きは一休みして、今回から数回、2015年3月にフィールドワークで訪問した喜界島について、地図との関係から少し書いてみたいと思う。

喜界島は奄美大島の東約25kmに位置し、鹿児島市からだと南へ約380kmの位置にある(図1)。

図1.喜界島の位置 ※喜界島町HPより。

図1.喜界島の位置
※喜界島町HPより。

喜界島へ行くには、飛行機だと鹿児島空港から喜界空港まで約1時間20分、1日の便数は午前8時台と午後1時台の2便(2015年7月現在)である。船で渡る場合は、鹿児島本港区北埠頭から奄美海運のフェリー(あまみ・きかい)で11時間ほどかかり、夕方の17時30分に出航して翌朝の4時30分に喜界島の中心の湾港へ着く。

喜界島は、島全体が隆起珊瑚礁の島であり、隆起の始まりについては約12万年前とする研究と、約10万年前とする研究が存在する。何れにしても長い年月をかけて少しずつ隆起し、現在の島の形となったわけであるが、ここでよく話題になるものに1年でどれくらい隆起したかという隆起速度である。これを求める際に重要なことは、現在の喜界島の最高地点の標高が何mかという点であり、この値によって導き出される隆起速度は自ずと変わってくる。

しかしながら、話はそう簡単ではない。何故なら喜界島の最高地点の標高にも二つの値が存在するからである。一つは、国土地理院が発行している地形図の値であり、此方は214mと表記されている(図2)。

図2.地形図にみる喜界島の最高地点 ※地理院地図より。

図2.地形図にみる喜界島の最高地点 ※地理院地図より。

もう一つは、現地にある「喜界島島最高地点」の標示であり、百之台と呼ばれる台地の南端部に設けられた七島鼻展望台には標高211.96mを示す標示板と杭がある。七島鼻展望台も標高に因んで「ポイント211」と呼ばれている(図3)。

図3.百之台の喜界島最高地点標示

図3.百之台の喜界島最高地点標示

図4.喜界島最高地点の標示

図4.喜界島最高地点の標示

地面の標示板を読むと、平成19(2007)年11月に行われた測量に基づき、緯度・経度の数値と共に標高や観測者名が記されており、隣に打ち込まれた「喜界島最高地点」の杭にも同年月日と喜界町の町名が刻まれている。このように、喜界島の最高地点の標高に関して、国が作成した地形図と地元が測量した結果との間に約2cmの差が存在するのである。これは一体どういうことであろうか?奄美大島の地形図に関する謎解きが一段落した矢先、今度は喜界島で新たな謎に出会ってしまった。

(鹿児島大学法文学部 小林善仁)