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奄美の地図②-古い地形図の探し方-

前回のブログ(奄美の地図①)にて、奄美の古い地形図(旧版地形図)の履歴について書いた。その際、5万分1地形図「名瀬」の図歴に違和感を覚えたことは、前回記した通りである。「測図」年と地図の「発行」年の不一致である(図1 リスト番号156-10-2)。両者の間には、33年(昭和28・1953年-大正9・1920年)の時間差がある。果たして、国土地理院の図歴に記載されない地形図が存在するのだろうか?

5万分1地形図 「名瀬」の図歴

図1. 5万分1地形図 「名瀬」の図歴 ※国土地理院ウェブサイトより

もう一度、図歴を良く読むと、図歴の下方には「注意1.このリストは、国土地理院で保有している地勢図・地形図について収録しました」と記されている。わざわざ注意書きをするくらいであるから、素直に解釈して「国土地理院の保有していない旧版地形図が存在する」という仮説を立ててみる。この仮説を証明するためには、国土地理院以外の地図所蔵機関を探さなければならないが、それは何処なのか?

幾つか候補は思い浮かぶ。一つは、地元の図書館や資料館・博物館である。自治体が設置する図書館や博物館などが対象となるけれども、自治体の規模とこれらの施設の規模は概ね相関するため、都道府県の施設の方が所蔵している資料の点数も多く、目的の地図を発見できる可能性も増す。

奄美を含む鹿児島県に関する地図を探すなら、鹿児島市にある鹿児島県立図書館(本館)と奄美市の鹿児島県立奄美図書館(奄美市)を調べるのが第1である。試みに、両館の横断蔵書検索で奄美の地形図を探したところ、やはり図歴にある通り、昭和28(1953)年に発行された5万分1地形図が本館と奄美の両方で所蔵されているのみであった。

鹿児島県立奄美図書館

図2. 鹿児島県立奄美図書館 ※鹿児島図書館協会ウェブサイトより

県立図書館に所蔵されていないからといって、諦めてはいけない。“県”に無ければ、次は“国”を探せば良い。と、言うことで、国の“知の宝庫”である国立国会図書館(東京都千代田区永田町)が第2の調査先である。ちなみに、国会図書館は国会議事堂の隣(北側)にある。

名前からすると、市民には縁遠く敷居の高い図書館に感じるかもしれないが、意外とそのようなことはなく、夏休みの自由研究のネタ探し(但し、閲覧・複写の利用の申請資格は「満18歳以上」)から国会議員の調査研究(こちらが国会法第130条に規定された同館の設置目的)まで幅広く対応している。館内では同館が所蔵する漫画を“閲覧”することもできる。国会図書館も近所の図書館とほとんど変わりの無い図書館であることが分かる(但し、貸出は不可)。

国立国会図書館東京本館

図3. 国立国会図書館東京本館 ※国立国会図書館ウェブサイトより

国会図書館に所蔵されていないとなれば、日本国内に図歴に記載されない奄美の地形図が存在する可能性は極めて低くなる。奄美の地形図探しの旅は続く・・・。

(鹿児島大学法文学部 小林善仁)