メンバー便り

ビーチ・クリーンアップ・キャンペーン

大隅半島への転勤をきっかけに,何か住民の皆さんといっしょになって取り組める地域活動がないものかと考えていたとき,通勤途中のカーラジオで知ったのが「ビーチ・クリーンアップ・キャンペーン」だった。
早速,かごしま事務局である本学の水産学部に問い合わせをし,資料を送ってもらった。

あすぱる大崎に設置された観光案内板。柑橘類にカブトムシにメロンと大崎町の特産品などを形取ったユニークな形。

あすぱる大崎に設置された観光案内板。柑橘類にカブトムシにメロンと大崎町の特産品などを形取ったユニークな形。

 

この活動の特徴は,①漂着ゴミをただひたすら拾うのではなく,拾ったゴミの種類と数量を記録する調査活動であること,②誰でも活動のキャプテンになることができ,また,何人ででも取り組めること,③それぞれの都合に合わせた時間で取り組めること,④主に春と秋が活動時期であるが,秋には世界中で一斉に実施され,世界中のボランティアが行った調査結果が集計されるグローバルな活動であること,⑤調査結果は漂着ゴミを元からなくすために役立てられることの5つ。

「芝生広場」

個人的には,くにの松原海岸の中でも「芝生広場」と呼ばれているこの場所が最も美しいと思っている。住民の皆さんの憩いの場でもある。

 

今すぐにでも,1人ででも始められるという気軽さに強く惹かれた私は,その年の10月から,まだ小学校6年生だった長男と2人で,まさに「白砂青松」を地でいく大崎町くにの松原海岸でこの活動を始めた。2回目からは,地元大崎町役場の全面的なご協力をいただき,12年たった今でもこの活動は続いている。

「くにの松原クリーン大作戦」

今年の10月13日(土)に開催された「くにの松原クリーン大作戦」の参加者。400名以上が集まった!この写真は,写真撮影のためだけに出動した地元企業の高所作業車から撮られた貴重な(?)1枚。

ビーチ・クリーンアップ活動の様子

「くにの松原クリーン大作戦」のビーチ・クリーンアップ活動の様子。海岸部の担当は,地元のスポーツ少年団の子どもたちとその保護者50名!

浜辺に落ちている漂着物を拾い集める活動は,「ビーチ・コーミング」とも呼ばれるが,これは,「櫛(comb)で浜辺を梳くように細かいものまで拾い集める」の意味である。しかし,悲しいことに,櫛なんか使わなくても,真剣に集めれば,すぐに軽トラックいっぱいになるくらい,鹿児島の浜辺には実に多くのゴミが流れ着いている。特に,黒潮が近くを流れ,外国船が行き交う三島や十島の島々の状況は深刻で,場所によっては浜辺が漂着ゴミで覆われ,砂地や岩場が半分も見えていないような所さえもある。

三島などの小規模・外海離島にとっての漂着ゴミは,①人口減少や高齢化等によりゴミを回収する人手が集まらない,②住民を何とか総動員して,ゴミの回収を行っても,1週間も経てば元の状態に戻ってしまう,③回収したゴミを処分するためには本土まで送らなければならず,輸送経費がかかるなど,二重三重の重荷となっている。

三島村でのビーチ・クリーンアップ活動

三島村でのビーチ・クリーンアップ活動の様子。昨年10月に故・中村勘三郎さんによる俊寛歌舞伎が行われた砂浜にも漂着ゴミが多数押し寄せてい た。

 

こうした離島の漂着ゴミのことを次の世代を担う子どもたちに知ってもらいたいと思い,大崎町の活動で培った経験や知識をもとに,毎年夏になると,三島村役場が硫黄島や竹島で実施するイベントに参加している。

このイベントにおいて,子どもたちとよく取り組むプログラムは,①漂着ゴミの回収・分別,種類・数量調査,②バーコードによるどこから来た漂着ゴミなの調べ,③動物の身になって漂着ゴミ誤飲・誤食体験,④漂着ゴミを主人公にした物語づくりなどである。

子どもたちに最も人気のあるのは,「バーコードによるどこから来た漂着ゴミなの調べ」。いつも最も遠くから来た漂着ゴミを見つけた子どもには,ささやかな賞品を渡すのだが,みんな目の色を変えて取り組んでくれる。常連さんの中国,韓国,台湾などのほか,これまでに優勝をさらったのは,イギリスやイタリア,ブラジル,メキシコ,アメリカ由来のペットボトルやビンなどであった。

漂着ゴミの分別・調査

漂着ゴミの分別・調査をしながら,賞品獲得をかけ,バーコードでどこの国由来のゴミかを調査中!漂着ゴミ関係のプログラムの中で子どもたちが最も真剣になる時間。

 

「動物の身になって漂着ゴミ誤飲・誤食体験」は,海鳥の身になって,細かい発泡スチロールの中に混ざったポップコーンを,くちばしに見立てたスプーンを口にくわえ,胃に見立てたプラコップに入れる体験である。ゲーム感覚で楽しみながら,こちらの思惑どおりに(?),とにかくゴミでも何でも腹一杯に詰め込む子どもがいる一方で,慎重にポップコーンだけを“食べる”子どももいて,きっと実際の海鳥の世界でもこうなんだろうななどと考えながら見ていると,とてもおもしろい。しかし,この体験後にゴミの誤飲・誤食や漁網への絡まりなどにより命を落とした動物の写真パネルを見せると,どの子どもも一転して真剣な眼差しになり,漂着ゴミの悪影響を子どもたちにわかってもらうにはいちばん効果的なプログラムである。

「動物の身になって漂着ゴミ誤飲・誤食体験」

「動物の身になって漂着ゴミ誤飲・誤食体験」にチャレンジ!海鳥になるのもなかなか大変だ~。

 

また,子どもたちの柔軟な想像力にいつも驚かせられるのは「漂着ゴミを主人公にした物語づくり」。このプログラムは,自分の選んだ漂着ゴミを主人公にし,どういう経緯でこの島に流れ着いたのか,その時々のゴミの気持ちはどうだったのか等を漂着ゴミの身になって想像し,物語にするもの。ある子は洗濯機の部品を主人公に,リサイクル料金を支払えない貧乏な家族が,悪いことと知りながら壊れた洗濯機を海に捨てる様子を語り,また,ある子は小さなゴム製の野球ボールに「ムーン」という名をつけて物語に登場させた。また,ある子は,ビールの空き缶を主人公に,今風の劇画タッチで短い会話を繰り返す手法により物語を完成させ,「男は黙って○○ビール」と,きっと昭和生まれしか知らないだろうと思われるセリフを言わせた。子どもたちは,どの子もとっても素晴らしい!!

「漂着ゴミを主人公にした物語づくり」

「漂着ゴミを主人公にした物語づくり」。彼女の前に置いてあるのが,「ムーン」。ボールに名前がついていたという想像力が何ともステキだ!

 

かごしま事務局によると,2011年の本県のビーチ・クリーンアップ・キャンペーンの参加者数は全国で第1位で,活動が実施された会場数は全国第3位。でも,南北600キロにも及ぶ県土を有する本県の広大な海岸線には,まだまだたくさんの手つかずの地域がある。

ふるさと鹿児島の美しい海を守るために,あなたもビーチ・クリーンアップ・キャンペーンのキャプテンになってみませんか?

「くにの松原クリーン大作戦」調査結果

「くにの松原クリーン大作戦」のビーチ・クリーンアップでの調査結果。50名で約60分間取り組んだ活動成果である。

(鹿児島県県民生活局 共生・協働推進課 有村智明)