お知らせ

かごしま国際ノネコ・シンポジウムを開催しました。

0月30日(日)にかごしま県民交流センター(鹿児島市)において「ネコで決まる!?奄美の世界自然遺産!かごしま国際ノネコ・シンポジウム」を開催しました。参加者は約100名。鹿児島本土だけでなく、奄美大島、徳之島から参加される方もいらっしゃいました。

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シンポジウムは、本学の前田学長からの主催者あいさつにはじまり、環境省那覇自然環境事務所長(中野圭一次長代読)、鹿児島県奄美世界自然遺産総括監と共催者からのメッセージがつづきました。

 

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鹿児島大学
前田学長
環境省
那覇自然環境事務所
中野次長(代読)
鹿児島県
奄美世界自然遺産
総括監
松本次長

 

【基調講演】

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環境省
徳之島自然保護官事務所      渡邊春隆自然保護官

最初に登壇したのは、環境省徳之島自然保護官事務所の渡邊春隆自然保護官。「世界自然遺産登録に向けた現状と外来種対策」と題して、奄美大島では1万頭を超えていたマングースが100頭以下に減った一方で、山中で野生化したネコ(ノネコ)が希少野生動物にとって脅威となっていること、徳之島でも捨てられた猫や野良猫が山中でアマミノクロウサギを捕食していることが紹介され、対策の現状と課題が報告されました。

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ニュージーランド
保全管理研究所
アル・グレン博士

続いてニュージーランド保全管理研究所のグレン博士からは、島嶼地域での侵略的外来種の対策の紹介がありました。世界でネコ駆除が行われた島の面積は最大でも約300㎢、人口については最大で1000人程度であり、面積約700㎢で人口が6万人を超える奄美大島の挑戦は世界的に前例がない取組であること。駆除だけでなく、侵略的外来種の特定の地域への囲い込みや、希少生物のコア地域での保護対策について提案されました。

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鹿児島環境学研究会
小栗有子准教授

その後、鹿児島環境学研究会の小栗有子准教授は、昨年度の『奄美国際ノネコ・シンポジウム』で配布された絵本『ネコはお外にいていいの?』に登場するネコの絵を使いながら、ノネコの問題はどの立場に立つか(ネコ好きか、ネコ嫌いか)、どういう視点から考えるか(人間側、ネコ側、野生動物側)によって問題の見え方が変わることや、奄美固有の空間の中で人・猫・野生生物の共存バランスが崩れ、新たな関わり方が問われていることを指摘し、今後多様な関係者が協力し合える作業を通じて合意形成を図ることが必要と強調しました。

【パネルディスカッション】

シンポジウム後半は、鹿児島県獣医師会長、奄美大島、徳之島でノネコ問題に取り組む方々、4名のパネリストが登壇し、奄美とかごしまのつながりを語るパネルディスカッションが行われました。コーディネーター役は鹿児島環境学研究会の星野一昭特任教授。

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奄美猫部
久野有子代表

一般社団法人奄美猫部代表の久野優子さんは、「人も猫も野生生物も住みよい奄美大島!」をスローガンに奄美大島で、野良猫の避妊去勢やネコの適正飼育の普及啓発などの取り組む様子を紹介しながら、猫が世界的にも侵略的外来種になったということは、希少生物のいる地域だけではなく、全世界で猫との関わり方を見直す必要があることだと訴えました。

CIMG2299徳之島虹の会
美延治郷理事

NPO法人徳之島虹の会の美延治郷さんは、平成27年度から環境省と取り組んでいるノネコ対策や野生生物の保護活動、徳之島三町ねこ対策協議会で取り組む『ニャンダーーランド』について紹介しながら、猫のTNR(捕獲・不妊化・放獣)をしても、野生生物の宝庫である徳之島では放獣できる場所がないこと、猫問題の原因は人間にあり、猫対策は人間教育であることを強く訴えました。

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ゆいの島どうぶつ病院
伊藤圭子院長

ゆいの島どうぶつ病院長であり、奄美猫部の副部長でもある伊藤圭子さんは、奄美大島での猫のTNR(捕獲・不妊化・放獣)における行政との関わりについて紹介しながら、地域の方々に島の自然のすばらしさに気づいてもらうとともに、ノネコ問題や猫の飼養問題についてもっと危機意識を持ってもらいたいこと、そして、猫をはじめ動物は責任を持って飼うものであることを獣医師として伝えていきたいと強調しました。

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鹿児島県獣医師会
坂本紘会長

公益社団法人鹿児島県獣医師会長の坂本紘さんは、ニュージーランドと日本の侵略的外来種としての猫への意識の違いについて考えを述べ、これまで九州各地で行ってきた猫のTNR(捕獲・不妊化・放獣)における現場の厳しい状況、ノネコ対策が手遅れにならないように官民共同で進めていく必要があることを強く訴えました。

また、会場参加者からの発言もありました。鹿児島県自然保護課の長田課長はノネコ対策における行政の役割を、鹿児島市平川動物公園の落合主任は、野生動物保護と普及啓発活動の観点から動物園の役割について説明しました。NPO法人犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島の杉木理事長は、猫の譲渡活動の厳しさや、ノネコ問題が奄美地域だけでなく、県民全体で考えるべき危機的問題であると指摘し、南日本放送の丸山さんは、ノネコの譲渡が厳しい現状を踏まえて奄美地域の判断を尊重することが重要だと強調しました。

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鹿児島環境学研究会
星野一昭特任教授

そして最後にコーディネーターである星野さんは、パネリスト、参加者の議論を受け、ノネコ問題の事実をみんなで共有して現実的な判断をし、みんながその判断に責任を持つこと、苦渋の決断をした奄美大島・徳之島地域の判断をオール鹿児島で尊重し支えることの重要性を強調して、パネルディスカッションを締めくくりました。

本シンポジウムの詳細は、
「ネコで決まる!?奄美の世界自然遺産!かごしま国際ノネコ・シンポジウム記録集」にてご覧いただけます。