東京通信

じろう物語

 大塚に引っ越してきてすぐだった。自宅裏の路地にひん死の猫がいた。せいぜい生後1ヵ月、獣医に連れて行ったが「とても育たない。これもなにかの縁だから家で看取ってあげなさい」と言われ、ガッカリして帰ってきた。これがなぜか甦って、今年の5月まで14年間生きた。名はじろうという。
 茶虎の大型の雄猫だが気はやさしい。前からいた阿蘇出身の10才年上の猫に可愛がられた。4年前、これも駒込の道端の植え込みで拾われた妹猫を、いじめることもなく仲良く暮らした。路地時代にかかった病気のせいか、終生片目だった。室内での生活にとくに不自由はないようであった。家人の引っ越しに付き合って、東京→鹿児島→東京と移動した。鹿児島から戻るときは開通したばかりの新幹線に乗った。大阪乗り換えで7時間かかった。
 猫は最初の1年が人間の20年に、その後1年が4年換算で年をとるという。その計算でいくと、14才は72才になる。長寿とまではいかないが、一度は獣医に見放された命だからよく生きた方だろう。
妹猫とじろう しろくまと寝る