東京通信

村上主義者

 村上春樹の文庫新刊に、田中一村記念館を見に行った話が出てくる。彼はふだんはアメリカで暮らしているが、世界中の気に入った町に住んで小説を書くらしい。しかし、奄美の田中一村までマークしていたとは… さすがノーベル文学賞候補者だけのことはある(関係ないか)。
 5月中旬は札幌にいた。ライラックの花が咲く直前だった。着いた日は暑くどうなることかと思ったが、翌日は一転して寒く震えるほどであった。この寒暖の変化は、いかにも北海道の初夏の気候である。
 札幌から戻ってすぐ鹿児島に行った。存外暑くなかったが、桜島の灰が降っていた。むかし県庁に出向していたころはまだ旧庁舎(いまの県民交流センターの場所にあった)にいたが、当時の桜島はしばしば噴火していたような記憶がある。
 鹿児島と北海道は縁が深く、北海道開拓長官として辣腕を振るった黒田清隆や、日本初の麦酒醸造所(サッポロビールの前身)を札幌につくった村橋久成は、いずれも旧薩摩藩士である。
 ところで、村上春樹の熱烈なファンをハルキストというらしい。本人はこの呼び方はあまり好まず、せめて村上主義者にしてくれと言っている。

 

村上春樹文庫新刊 サッポロビール工場