東京通信

走る男

 飛行機での旅行が重なると窓からの風景にも飽きて、降りるのに便利な通路側に座ったりする。先日鹿児島行きの便で、久々に窓側に座った。そろそろ富士山がと思ったら、すでに眼下に迫っている。あわててカメラで撮ったのがこの写真である。こんなに近かったかなぁ、富士山。雪の被り具合もなかなかいい感じだ。
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冠雪の富士山

 俳優で監督の伊丹十三に「走る男」というエッセイがある(日本世間噺体系 文春文庫)。全席指定なのにとにかく全速力で走る男がいる。これが例外なく窓際に座る。配られたおしぼりのビニールをパンと音をたてて破り、ただし飛び始めると必ずといっていいぐらい寝てしまう。昭和40年代の高度経済成長期の男の典型、こんな奴がたしかにいた。そもそも当時は機内で煙草が喫えたし、サービスの新聞や週刊誌もあった。あれはいつ頃からなくなってしまったのだろうか。
 富士山が見えた便の、鹿児島空港着陸直前に黒い機影が見えた。高度が下がるに連れて影もどんどん大きくなる。
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着陸直前の機影

(鹿児島環境学WGメンバー 小野寺浩)